◆外国人労働者の帰国と退職◆

技能実習生の帰国

1.技能実習法で規定されている帰国




帰国のタイミング●

技能実習生本人や企業の意思に関わらず、必ず帰国しなくてはならないのが、技能実習法の定めによる、一時帰国です。

帰国のタイミングは、技能実習2号または3号の期間が終了した時です。
技能実習期間が2号までの場合はもちろん(完全帰国)、3号に移行する場合には、以下の2期間のいずれかで一時帰国する必要があります。
・技能実習3号の開始前に1ケ月以上一時帰国する
・技能実習3号の開始後1年以内に、1ケ月以上、1年未満の期間で一時帰国する
※3号移行の一時帰国の期間は、3号技能実習期間に含まれません(3号技能実習開始後1年以内であれば、一時帰国後の本邦への入国は、3号技能実習開始後1年を経過していても問題ありません。)
なお、2号または3号で実習を終え、完全に帰国する際の帰国費用及び、3号移行時の一時帰国に要する往復費用は、実習実施者の負担となります。

 ★技能実習2号または3号を修了し、特定技能に移行する場合には一時帰国の必要がありませんが、本人が一時帰国を望んだ場合には、意向に沿った対応が必要です。

また、一時帰国の費用負担などのルールは、帰国時の在留資格に基づいて行われます。技能実習では、一時帰国の際の費用は実習実施者(受入れ企業)の負担になっているので、外国人労働者にとっては技能実習終了前の帰国が望ましいでしょう。

 

●スケジュール●

技能実習生の帰国が近づいてきたら、在留期間内で退職日および帰国日のスケジュール調整が必要です。日程については、技能実習生・受け入れ企業・監理団体の三者にて協議を行い決定します。
退職日および帰国日の決定後、監理団体が帰国用の航空券を手配します。
技能実習生の帰国までの間に、以下に記載する諸手続きを行う必要があるため、帰国日の設定は余裕をもった日程にすることをおすすめします。

2.本人の申し出による一時帰国




●本人の申し出による一時帰国の条件と注意点●

母国の身内に不幸などがあった場合に本人が技能実習期間中に、一時帰国を希望する場合です。実習実施者は、有給や忌引き等の扱いで、なるべく技能実習生の意向に沿った対応をしましょう。
①技能実習生が一時帰国を希望してきたら、理由を聞く。
②監理団体に報告し、了承を得る。
③帰国(費用については、法定の帰国とは異なり、実習生自身が負担することも可能)
④1か月のうち80時間以上技能実習を行わない場合は技能実習計画を変更する必要がある。
⑤再入国許可制度で入国 ※再入国が在留期限内であることを確認
※「みなし再入国許可」の適用を受けるためには、出国する空・海港の入国審査官に対し、必ず「みなし再入国許可」の適用を希望する旨のチェック: ☑をした「再入国出国記録(再入国用EDカード)」を提出する必要があります。
単純出国を防ぐためにも監理団体や実習実施者が、技能実習生のパスポートに一時帰国で再入国予定である旨のメモを貼付しておくことも有効です。

3.技能実習の継続困難による途中帰国




●技能実習の継続困難な場合とは●

技能実習生が実習期間中に病気やケガによって実習が困難になってしまった場合、また、実習実施者が倒産等で技能実習が困難になり、さらに次の実習実施先が見つからない場合、技能実習を中止し途中帰国せざるを得ないケース。

4.技能実習2号(3号)への移行が出来ずに帰国する場合




●技能実習2号へ移行ができない場合とは●

技能実習1号が終了し、2号に移行する際、学科と技能の試験に合格していることが必要です。その試験に不合格となってしまうと、1年で途中帰国となります。
 
●技能実習3号へ移行ができない場合とは●
・移行対象職種(省令で定められた作業)に関するものであること
・技能実習2号の目標である各職種の技能検定の実技試験に合格していること
・「優良な実習実施者」の要件を満たしていること
これらを満たしていない場合には技能実習2号修了と同時に帰国となります。

特定技能外国人の場合

本人の申し出による一時帰国




●本人の申し出による一時帰国の条件と注意点●

特定技能外国人は、本人が一時帰国を望んだら、やむを得ない場合を除き、有給休暇を許可する必要があります。ですが、母国に帰国するとなると、まとまった休暇を取らなくてはならないため、特定技能外国人・受入れ企業・登録支援機関での協議が必要です。

①特定技能外国人が一時帰国を希望してきたら、帰国時期、期間などを聞く。

②有給休暇の残日数を確認(不足の場合には無給休暇の許可)

③帰国費用は原則本人負担ですが、支援計画には「空港への送迎」が含まれています。また、空港送迎のための交通費は受入機関が負担することが義務付けられていますので、本人が負担する費用は航空券代のみとしておくのがいいでしょう。
(一時帰国の際の送迎は義務でなないのですが、特定技能外国人だけの空港までの往復に自信がない場合には同行などの配慮が必要です。)

④一時帰国の期間は、特定技能1号の上限5年の通算期間に含まれます。

⑤再入国許可制度で入国 ※再入国が在留期限内であることを確認

※「みなし再入国許可」の適用を受けるためには、出国する空・海港の入国審査官に対し、必ず「みなし再入国許可」の適用を希望する旨のチェック: ☑をした「再入国出国記録(再入国用EDカード)」を提出する必要があります。
単純出国を防ぐためにも登録支援機関や受入れ企業が、特定技能外国人のパスポートに一時帰国で再入国予定である旨のメモを貼付しておくことも有効です。

外国人労働者の退職手続き

1.退職時の社内手続きと注意点




●給与の計算●

技能実習生に支払う最後の給料は、あらかじめ給与計算を行い、帰国日までに支給する必要があります。給料日前に帰国する実習生は銀行口座の解約をしてしまうため、支払いは現金支給にしていただきます。
 

●有給休暇の消化●

有給休暇は雇用期間中に消化することを推奨します。帰国までに有給休暇を消化できない場合、外国人労働者から不満がでることがあるため注意が必要です。

●年末調整の実施●

外国人労働者が帰国する際は、12月を待たずに最後の賃金で年末調整を行い、所得税を清算する必要があります。

●社会保険喪失の手続き●

技能実習生、特定技能外国人は厚生年金脱退一時金(※)の受給対象のため、社会保険喪失手続きや年金手帳(脱退一時金の申請で使用)の返却が必要です。対応漏れがないよう注意ください。

※日本国内の会社で6カ月以上働いたことのある外国人を対象に厚生年金保険が支払われる一時金。日本に短期滞在する外国人の保険料の掛け捨てを防ぐため、外国人が日本を出国後(2年以内)に請求すれば厚生年金保険に加入していた期間に応じた一時金が支払われます。技能実習生については監理団体より送り出し機関に申し送りします。

年金脱退一時金の制度~日本年金機構

●健康保険被保険者証、貸与していた備品等の回収●

健康保険証や社員証など、退職時に回収するべきものの回収漏れがないようご注意ください。実習実施者にて貸与していた工具類があればそれも同様です。

●住民税の精算●

住民税は前年の所得金額に応じて後納で分割払いをするため、技能実習生が帰国する月によっては納税が残っている可能性があります。事前に管轄の市役所に問合せを行い、帰国前に清算が必要です。

2.退職時の社外手続きと注意点




●市区町村への転出届●

帰国時は、住民登録をした市区町村へ転出届を提出する必要があります。厚生年金脱退一時金の受給要件に「日本国内に住所を有していない方」という項目があるため、転出届を提出していない場合は、脱退一時金の還付が通常より遅くなる可能性があります。
 
●外国人労働者の離職届●
外国人労働者の雇い入れまたは離職の際、当該外国人労働者の在留資格や在留期間等についての情報を、管轄の公共職業安定所(ハローワーク)へ届け出る必要があります。退職日の翌日から起算して10日以内に雇用保険被保険者資格喪失届と併せて必要事項を届け出ます。
 
●銀行口座の解約●
最終の給与支給を行い、技能実習生が給料を引き出した後、銀行口座は必ず解約させるようにする必要があります。銀行口座を残したままだと、悪用される恐れがあるためご注意ください。
 
●携帯電話・インターネットなどの解約●
個人で契約している携帯電話やインターネット等の契約を解除しないまま帰国してしまった場合、帰国後に発生した料金を受け入れ企業が負担させられてしまうケースがあります。帰国する外国人労働者には、必ず各種契約の解除をさせるよう促す必要があります。